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国際業務を扱う行政書士のメリットは?生き残る事務所になるための事業戦略

国際業務を扱う行政書士のメリットは?生き残る事務所になるための事業戦略

いつもコラムを購読いただきまして、ありがとうございます。
株式会社船井総合研究所 企業法務グループの大橋です。

本コラムでは国際業務分野について取り組まれている、または取り組みを検討されている行政書士事務所様に向けて、参入のメリットと検討すべき事業戦略について解説いたします。

本コラムでお伝えしたい内容

行政書士の先生方が取り扱う業務内容の全体像の整理から、国際業務分野に関する最新動向と、国際業務に参入することのメリット・参入前に知っておいていただきたい事業化していくための事業戦略について整理させていただきます。
今後の事務所経営を検討されている行政書士の先生方にとって少しでも役立てば幸いです。

行政書士事務所が今、国際業務に取り組むべき理由とは?

国際業務について現在読んでいただいている方のなかでは
「コロナ禍の今、準備をしておく必要はあるのか?」
「時流の流れをみて参入時期を検討したい」
「国際業務もいずれはオンライン申請等で対応が難しくなるのでは?」等の意見をお持ちの方もいらっしゃるかと思います。
そのような方々に、改めて国際業務に今取り組んでいただきたい背景をお伝えいたします。

新規事業を取り扱うべきタイミング

まず、国際業務に限らず行政書士事務所として新規事業を取り扱う際には、現在取り組んでいる案件での売上を立てつつ、案件比率を徐々に変えていきながら新規事業をメイン事業にしていく形を理想的です。
新規事業に大きく工数を割くタイミングを設けてしまうと、事務所内の所員数が少ない場合には一時的に売上が大幅に減少してしまう可能性があります。既存のメイン事業でしっかりと売上を安定して確保をしながら、新規事業への時間・費用の投資を行うことで、徐々に案件比率を変えつつ中長期的な安定経営を実現することができます。

現在の全国の行政書士事務所の業務比率

次に、現在全国の行政書士の先生方が取り組まれている業務内容の比率について整理します。日本行政書士連合会の会員様で登録されている取扱い業務内容を分析すると、最も多い業務は「遺言・相続・遺産分割」で約4,000の事務所が登録しています。また「建設業・経営審査事項」についても約2,800の事務所様が取り組まれており、ほとんどの行政書士事務所が上記2分野についてメインで取り組まれている状況です。

行政書士業務の今後の予測と今取り組むべき理由

行政書士事務所の業務の大半は、許可取得や手続きのための書類作成・提出かと思いますが、これらの書類作成・提出の業務内容については、近年コロナ禍の影響もありオンライン手続きへの移行や書類の簡素化等の動きが出てきています。オンライン化への移行で予測される今後の動きは下記の2点がポイントとなります。

①簡素化による申請代行の依頼の減少
②オンライン申請による大手行政書士法人の参入

簡素化による申請代行の依頼の減少

こちらについては国際業務での入管への許可申請も同様ですが、提出書類や申請内容の簡素化によって専門家への依頼ニーズは減少する傾向にあります。そのため、外国人個人や企業自身で申請を行う件数が増加してしまう可能性が高いです。

オンライン申請による大手行政書士法人の参入

オンライン申請によって多くの行政書士を抱える大手の行政書士法人では、支店のないエリアであっても案件対応が可能になるためWEB広告をはじめとしてマーケティングを開始して、これまで競合のいなかった商圏の場合でも大手行政書士法人への案件が流れてしまう可能性も少なくありません。これまでは紹介経由等でマーケティング活動なしで案件が自然と獲得できていた環境から大きく変わってしまう可能性があります。

上記のようなオンライン化による今後の動きを含めて事務所が生き残っていくためには、「他事務所との差別化となる強みをつくる」「1事業に留まらない柱をつくる」必要があります。
国際業務を扱うことで、事務所経営の新規の柱をつくることができるのはもちろん、建設業であれば外国人採用による人材確保まで関与ができるという差別化ポイントをつくることができるため、結果として事務所経営に必要な2点をカバーすることができます。

ここまでお話をさせていただいた内容を改めて整理をさせていただくと、
・オンライン申請の発展による行政書士業務の変化が起きる
・他事務所との差別化、経営の新規の柱として国際業務の実施を検討する
・国際業務を実施するには、既存業務で安定経営が可能な“今”である ということです。
上記の内容をおさえたうえで国際業務に関する解説をさせていただきます。

国際業務分野に関する今後の動向

ここから国際業務分野における市場動向を、整理させていただきます。
コロナウイルスや変異株の感染拡大により、2020年以降国際業務分野には大きく影響が出ておりましたが、2022年3月1日より観光以外のビジネス目的での入国が5,000人を上限として開始になりました。さらに3月14日から入国人数の上限を7,000人に拡大され、留学生については別枠で1,000人の入国が再開します。今後の動きとしても、さらに1日の入国者数の上限は拡大していく流れが予測されるため、国際業務分野における業務についても増加していくことが見込まれます。

このような今後の動向を踏まえて更なる増加が見込まれるいま、国際業務への参入と参入に向けた事務所状況の整備をしていくことをお勧めさせていただきます。

行政書士が対応すべき“国際業務”とは?

ここまで“国際業務”という表記をさせていただきましたが、読んでいただいたなかで“国際業務”の具体的な業務内容についてどのような業務を思い浮かべていたでしょうか?
一般的には「国際業務=外国人の在留資格に関する許可申請」を考える方も多いかと思いますが、行政書士事務所として国際業務をメイン事業にしていくには、上記の許可申請のみでは中長期的な経営は、一握りに限られてしまう可能性が高いです。

船井総研が定義する「国際業務」について、行政書士事務所様に実際にご提案している商品内容の一部を上記の在留資格申請の内容を含めてご紹介させていただきます。

①在留資格申請

在留資格申請は国際業務を扱ううえではベースの知識として必要です。入管法の理解に向けては外国人個人の在留資格申請の業務を取り扱うことをおススメします。日本人の配偶者や帰化申請など、企業への顧問契約等の観点からは必要のない実務だと思いがちですが、雇用している外国人材の日本での在留を継続してもらうためには、就労ビザのみではなく身分系の案件を含めた対応や、留学生の就労制限に関する資格外活動に関する相談へも対応ができるように実務ノウハウを蓄積しておくことが重要です。

②外国人経営者向けの会社経営サポート

外国人の方が日本で事業の開始を検討する場合には、経営管理ビザが対象となります。自国で事業経営をされている経営者であっても、日本で会社設立を行うための手続きについては、一から理解をする必要があり外国人のみで事業を開始することには大きな負担があります。そのような外国人経営者の方に向けて、経営管理ビザの取得のみではなく会社設立に向けた物件の選定や設立の手続き、専門家の紹介まで創業支援を実施するのがこの会社経営サポートです。外国人個人からのご相談であってもサポート内容の幅を広げて商品設計を行うことで、1件での受任単価の増額が見込めます。

③既存顧客での入管法に関する相談対応

上記の在留資格申請による入管法のノウハウが十分に蓄積したタイミングで、既存顧客への外国人雇用に関するご提案等を実施することで、外国人雇用に関連する入管法や技能実習法等の関係法令に関する相談対応を商品としていくことが第二ステップとなります。在留資格に関する申請とその他日常的に発生する外国人雇用関連の相談対応を顧問契約としてサポートをすることをおススメします。

④特定技能外国人雇用企業向けの支援業務サポート

特定技能外国人を雇用する企業様では、特定技能外国人に向けた支援業務を自社で内製化をしていきたいというニーズも多くあります。そのような企業様に向けて、入管法上必要な支援業務の詳細に関するアドバイスや、定期届出等の書類作成代行を行政書士として関与をすることによって、企業として工数のかかる部分は専門家に外注しつつ、支援業務の委託料の軽減にも繋げていくことが可能です。

上記の③④のように、外国人雇用企業に向けたサポート内容については、在留資格申請についてはフロントエンド商品として確立をしていくことが重要です。在留資格申請での収益化を目指すことなく在留資格申請を割引で対応し、相談対応をはじめとした顧問契約を実現していくことをおススメします。国際業務分野においては、行政書士としては珍しく顧問契約によるストック収入が見込めることが大きな強みです。企業としての知識も少ない入管法・技能実習法の相談対応ができるようにしておくことで、在留資格申請等の手続き業務にプラスして、顧問契約による継続的な関係性の構築をしていくことが重要です。

入管業務における行政書士の役割

行政書士が行う「入管業務」には一般的な定義と実際の業務内容に差があります。一般的な業務としては、外国人の在留資格取得に向けた申請書類の作成や出入国在留管理庁への提出などが含まれます。外国人が日本で適法に滞在するためには滞在目的に応じた在留資格の申請が必要であり、行政書士のサポートが不可欠です。一部の行政書士は在留資格の申請業務に留まる一方で、事業展開に成功している行政書士は在留資格の申請だけでなく、外国人雇用を行う企業にもサポートを提供し、全てを考慮したトータルサポートを提供されています。
入管業務についての記事はこちら

 

さいごに

ここまで行政書士事務所として今国際業務分野に取り組んでいただきたい理由を含めて整理をさせていただきました。既に国際業務についてご対応されている事務所様はもちろんですが、新規での参入や参入時期についてご検討いただいている行政書士の先生方にも少しでもご参考になれば幸いです。

今回の記事内容でのポイントは「手続き業務に留まらない」という部分です。
建設業許可については許可申請までのサポートとその後の経営審査事項への対応という定型的な業務対応に留まってしまうことがほとんどかと思います。国際業務においても在留資格申請のみに目を向ければ、許可が取得できればそれで対応は終了してしまいます。1件の受任単価も15万円~20万円程度となってしまうため、大量に案件を受注して申請業務を継続的に行う必要がでてきてしまいます。しかし、“国際業務”としてサポートできる範囲を広げて商品設計を行うことによって、継続的な相談発生による関係性の構築はもちろん、顧問契約によるストック型での報酬を受領することが可能になります。単純な入管への在留資格申請代行の許可取得という認識ではなく、顧客に提供できる商品内容を見極めたうえで事務所での提供商品の設計を行っていくことが重要です。

弊社でサポートできること

弊社では上記のような国際業務分野を実施、参入を検討されている行政書士事務所様に向けて、商品設計からマーケティングによる案件獲得に向けたコンサルティングを行っております。
「外国人個人のビザ申請をメインで対応しており、法人案件を獲得したい」
「建設業許可で対応している顧客への外国人採用の支援でサポートを広げていきたい」
「新規の事業として国際業務を検討しているが、今の事務所で対応可能なのか?」等
国際業務を扱ううえでの懸念点や疑問点についても、弊所とのコンサルティングを通じてサポートをさせていただくことが可能です。コンサルティングについて興味・関心をお持ちいただいた方に向けては、無料の経営相談も対応しておりますので、お気軽にご相談ください。

国際業務経営研究会のお試し参加のご案内

また、上記のコンサルティング以外に国際業務を扱う士業事務所様向けに定期的な勉強会の機会を設けております。勉強会では他事務所様で実践いただいた商品設計・マーケティングに関する成功事例のご紹介や、業界を牽引されている士業事務所様にゲスト講師としてご登壇いただき国際業務分野における時流予測等の解説の講座等、国際業務を扱う士業事務所様にぜひ知っておいていただきたい情報を発信させていただく勉強会となっています。
無料でお試し参加いただけますので、「興味はあるけど、具体的に研究会の講座内容等を知りたい」という方はぜひご参加ください。

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【執筆者:大橋春香(士業支援部)】

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