業界レポート、無料ダウンロード

【弁護士編】イミグレーションマーケットにおけるマーケティング戦略

【弁護士編】イミグレーションマーケットにおけるマーケティング戦略

いつもメルマガを購読いただきまして、ありがとうございます。
株式会社船井総合研究所 企業法務グループの大橋です。

本コラムでは国際業務分野について取り組まれている、または取り組みを検討されている法律事務所様に向けてマーケティング戦略に関する解説をさせていただきます。

弁護士の先生方の強みは在留資格等の手続は対応可能なだけでなく、外国人雇用を行う企業への訴訟をはじめとした紛争対応までトータルでカバーできる点です。
こちらのコラムでは各士業別の商品を整理したうえで、弁護士としての強みを生かす商品設計・マーケティング戦略について解説いたします。
新型コロナウイルス感染症の影響によってマイナスな印象を持っている方もいるのではないでしょうか?本当にネガティブな状況だけなのかを徹底解説したいと思います。
ぜひ今後の事務所経営にお役立ていただけたらと存じます。

2022年のイミグレーションマーケット

国際業務への取り組みについて最も興味・関心が高いのはマーケット状況かと存じます。
ここでは2022年のイミグレーションマーケットの最新情報と、今後の予測についてお話いたします。
「新規入国が停止したから、国際業務分野での案件獲得はできない」という傾向に寄った報道も多くされておりますので、実際のマーケット状況を正しく理解をしたうえで、うつべき戦略を検討していただけたらと存じます。

入国規制に関するこれまでの動向

入国規制の動向について、まず2021年の流れについて整理します。2021年1月中旬に新規入国が停止となり、ようやく感染者数の増加が落ち着いた2021年11月5日の発表により入国制限の見直しが発表されました。しかし、同月末にて入国制限について再度継続となってしまい、2021年の1年間では入国制限が緩和されたのはわずか1ヶ月程度に留まっているのが現状です。

今後の入国規制に関する予測

現在、日本以外のヨーロッパ諸国ではオミクロン株の国内感染が広がっている影響で、経済的打撃を優先して国外からの入国規制を緩和している動きがみられています。日本では規制緩和に対する抵抗がより強いことから政府としても踏みきれていない状況がありますが、WHOからの要請が出ている等、日本の独特な動きに対して諸外国からの規制緩和を要求する動きは高まっている状況です。
そのため今後はオミクロン株の感染のピークが過ぎたタイミングで経済活動を動かすという意味合いで入国規制を緩和する動きは近いうち見られるのではないかと見込まれます。

このようななかで法律事務所は今なにをすべきか?

このようにマーケットの回復が見込まれる状況ではありながらも、国際業務に関与する場合には、ビザ申請に関連する入管法のみならず外国人材を雇用する企業のサポートに向けた労働法・技能実習法等の関係法令を抑えておく必要があります。
そのためマーケット回復のタイミングではなく、それを予測して今から関係法令の情報を整理しつつ、準備を進めておくことが重要です。

イミグレーションマーケットにおける弁護士の強みとは?

イミグレーションマーケットではビザ申請等の手続き業務のみではなく、外国人個人の交通事故や国際相続・離婚等の相談、また外国人材の労務管理から紛争対応まで本当に幅広い法律問題が存在します。
各士業ではこういった案件のなかでも対応可能な範囲が限られているなか、弁護士の場合にはこういった発生する法的問題に対して全てにアプローチができる点が最大の強みです。関連する法令も多くなりますので安易な分野ではありませんが、しっかりと成長ステップを整理したうえで、徐々に取り組む分野を広げていくことで、結果として国際業務に関する全般的なサポートが可能になります。

ここから上記の強みを生かして対応可能な業務について整理いたします。

ビザ申請をはじめとした手続き業務

こちらは一般的な在留資格申請業務です。入管法の基礎的な部分を学ぶためには実際に外国人個人の案件を対応したうえで取得が可能な在留資格の選定、提案をしていくことはが重要です。
最終的には企業法務に展開した顧問契約の獲得を目指している場合であても、まずは申請書や理由書の作成を行うことで入管法の全体像を理解していくことをおススメします。

外国人雇用企業への法律相談・顧問

次のステップが外国人雇用を行う企業への入管法・労働法等に関する法律相談対応です。外国人材を雇用している場合、一般的な日本人の労務管理とは異なる点も多いです。例えば雇用契約書や就業規則に記載されている内容のなかでも、同様の業務内容で働いている日本人と外国人の給与に違いがあればそれは入管法上の違反となる可能性があります。一見基本的だと感じる内容であっても企業としては把握をしていないことも多いため、外国人材の労務に精通した専門家のサポートが不可欠です。

訴訟等の紛争対応

現状ではまだまだ外国人労務専門の弁護士が少ないことも影響して、外国人雇用については法的知識が不足していることで結果として不法就労助長や外国人材側からの訴訟問題等の紛争に発展してしまうことも少なくありません。
このような問題に発展してしまった場合には弁護士しか介入ができず、専門家も少ないことで相談先が分からない企業も多くあります。
訴訟対応等で信頼関係の構築ができれば、その後の顧問契約による継続的なサポートも見込めるため、十分な実務ノウハウ・経験や実績を打ち出すことで問題発生後の企業への入り込みも可能です。

外国人個人の日本での生活に関するサポート

外国人が日本で生活をしていくうえでは、上記のような就労している会社での労働に関する問題のみならず、交通事故や離婚・相続等の一般家事に関するトラブルも日本人と同様に起こりやすい問題です。離婚・相続等の問題に発展してしまった場合には、準拠法等の理解も必要になりますので、海外現地での業務対応の経験をお持ちの先生であれば、この視点からイミグレーションマーケットへの参入をご検討いただくのも良いかと思います。外国人雇用を行う企業様でも従業員に関する相談先が分からないため、こういった一般家事に関する対応も他事務所様との差別化にも繋がります。

外国人起業家への起業支援・顧問サポート

日本への入国者数の増加に伴い、日本でビジネスを始める外国人材も増えてきています。日本でビジネスを志す外国人材のなかでも日本語能力が十分でなかったり、日本での起業に向けて必要な法的知識を把握していなかったりと様々なハードルがあるのも事実です。このような場合、不動産関連の各種契約や税務対応も可能であれば外国人起業家のサポートも可能になります。起業に向けた継続的なサポートを行っていることで、開業後の顧問提案も実施しやすいため、現在の案件対応の経験を踏まえて検討いただけるサポート内容となるかと思います。

2022年にイミグレーションマーケットにおいて弁護士が注力すべきこと

上記のような商品が検討できるなかで、2022年に法律事務所が取り組むべき注力商品について取り上げます。オミクロン株の流行も影響しているなかではありますが、研究会会員様をはじめとして弊社でお付き合いさせていただいている法律事務所様が実際にどのような案件獲得ができているのかを一部抜粋してお伝えいたします。

既に外国人雇用を行っている企業への労務管理のレビュー

日本への新規入国が停止しているなか、既に日本で就労をしている外国人材の取締りが強化されています。
2021年は1ヶ月に1件のペースで不法就労助長による書類送検の報道や、監理団体の許可取消の報道が多くみられました。
このようななかで同業種の報道が行われると、技人国や技能実習生を雇用している企業などで「
技人国と技能実習で雇用している人材が同様の業務内容で就労している」場合などは行政からのチェックの目が届きやすい状況にあります。
リスクを感じる企業も少なくないため、そのような状況下で現状の労務管理状況のチェック・レビューのニーズが高まっています。
法律事務所として入管法や労働法の知識を兼ね備えていることが大きな強みとなりますので、
現状の労務管理状況をチェックしたうえで、リスク・改善案の提示を行うことで改善に向けた定期的なアドバイスに向けた顧問契約にも発展しやすい傾向にあります。

不法就労助長となってしまった企業への起訴前弁護

上記のように問題が発生する前に未然に対応ができるケースもありますが、問題に発展してしまうケースも少なくありません。問題発生後に起訴前弁護の案件を受任される法律事務所様も出てきています。この点は、元検事の強みや入管法・労働法の案件対応の経験等が必要になるため、一定の実務ノウハウがある事務所様では案件獲得が見込めるかと思います。

さいごに

ここまで法律事務所として国際業務において提供が可能な商品をお伝えさせていただきましたが、国際業務を法律事務所の事業の柱として検討いただく場合には、事業の成功のためのステップがとても重要です。

国際業務においては入管法のみではなく、労働法・技能実習法などの関係法令の知識が必要のため、十分に実務ノウハウを積んだうえで商品設計を展開していく必要があります。
今後の日本における少子高齢化の傾向を考慮しても、事務所経営にはかかせない事業の柱となる可能性が見込めますが、ステップを誤ると大きなリスクが潜んでいることも事実です。

国際業務マーケットへの参入、事業展開を検討されている法律事務所様においては、まずはぜひ一度ご相談をいただき事業計画について検討いただく機会を設けていただけたらと存じます。

弊社では国際業務を扱う法律事務所様へのコンサルティングはもちろん、国際業務を扱う士業事務所様にお集まりいただく定期的な勉強会の機会を設けております。実際に対応されている事務所様との情報交換を通じて、事業発展をより加速させられるような機会を設けておりますので、まずはぜひ一度ご相談いただけたらと存じます。

PAGE TOP